馬場酒造場

馬場酒造場

  • 鹿島市大字三河内乙1365
  • TEL ╱ 0954-63-3888
  • 営業時間 ╱ 8:00~17:00
  • 休み ╱ 土・日曜、祝日、8/14~8/16、12/31~1/3
  • 直売 ╱ あり(試飲不可)
  • 酒蔵見学 ╱ 不可
  • ホームページ ╱ https://www.nogomi.co.jp/

日本酒ファンから愛されるこだわり抜いた地酒

緑の山々に囲まれ、美しい里山風景が広がる能古見(のごみ)地区。そんな能古見地区の中川のほとりで200年以上の時を刻んできたのが馬場酒造場だ。

寛政7年(1795年)創業という歴史ある蔵だが、全国の日本酒ファンに愛される清酒「能古見」を発売したのは、8代目馬場第一郎さんの代になってから。

若くして父を亡くした第一郎さんは大学卒業後すぐに蔵に入った。当時は日本酒の消費量が落ち込み、酒販店も後継者不足に悩んでいたころ。

「このままでは先はない」。危機感を覚えた第一郎さんは、酒米の最高峰とされる山田錦を地元で栽培し、地元の米と多良岳山系の伏流水で造った特定名称酒で勝負することにした。JAや地元農家との交渉に7年を費やし、ようやく完成した酒に「能古見」と名付けた。

しかし、当時は特定名称酒は進物用でしか売れない時代。しかも、第一郎さんは1升3000円という当時としては高額な純米吟醸を、高級感を演出する和紙ではなく遮光性・保温性にまさる新聞紙を巻いて出荷した。そこには、純米吟醸を特別な日だけでなく、日々の晩酌で飲んで欲しいという思いもあった。

最初は酒販店の反応も悪く、売れない日々が続いた。だが「3000円するから日本酒が売れないのはおかしい。ワインもウイスキーもそれ以上の値段で売れている」。そう考えた第一郎さんは自分の納得する酒を造り続けた。

やがて、雑誌主催の全国日本酒コンテストで2年連続グランプリを受賞したことがきっかけになり、「能古見」の名前が広がり始めた。以来、本当に納得できる酒造りをするために、少量生産を貫いてファンを増やしてきた。

そんな馬場酒造場が造るのは、佐賀の濃い味付けの料理にあう、甘いが重たくない、米の味がしっかりとする酒。「この地に蔵を構える以上、地域の料理にあう酒を地域の素材で造りたい」。馬場酒造の酒造りには、地酒とは何かという答えがあるように思える。