幸姫酒造

幸姫酒造

  • 鹿島市古枝甲599
  • TEL ╱ 0954-63-3708
  • 営業時間 ╱ 8:00~17:00
  • 休み ╱ 1/1 ~ 1/3
  • 直売 ╱ あり(試飲可)
  • 酒蔵見学 ╱ 可 9:00~16:30(冬場は16:00)
  • ※常時見学が可能(酒造り時期は立ち入り制限場所有)
  • ホームページ ╱ http://www.sachihime.co.jp/

鹿島から世界へ 日本酒文化を伝える蔵

日本三大稲荷のひとつである祐徳稲荷神社のほど近くにあり、祐徳稲荷神社御神酒醸造元である幸姫酒造。肥前浜宿酒蔵通りからも10分程度歩けばたどり着くことができる。

もともと有明海の赤貝の養殖をしていた峰松家が酒造りを始めたのは昭和9年(1934年)ごろ。3代目まで女系が続き、入り婿が蔵の主人をつとめてきた。

一人娘が幸せになるようにという願いを込めてつけられた酒銘がそのまま幸姫酒造という蔵の名前になったそうだ。

幸姫酒造では、まだ酒蔵見学が一般的でなかった1960年代から、蔵に観光客を迎え入れてきた。蔵の中には、手書きで佐賀の酒造りの歴史や特徴を記した紙が掲示されている。

また、10数年前からは、日本酒を飲めない人にも楽しんで欲しいと考え、地酒ソフトクリームや甘酒の販売もしている。そこにあるのは、蔵を訪れる人に多様な形で日本酒文化を伝えたいという思いだ。

現在、杜氏を務めるのは、峰松幸弘社長の長男である宏文さん。東京農業大学の醸造科を卒業した後、株式会社熊本県酒造研究所で修行をしてから蔵に入った。

「この道に進んでいなかったら歴史家になっていた」と語るだけに、酒造りについて質問すると鎌倉時代までさかのぼって答えてくれる。宏文さんの話がおもしろくて、つい次から次へと質問したくなる。

そんな宏文さんが造る清酒「幸姫」は、その名の通り華やかで飲みやすい味わい。肉料理との相性もよく、中国やアメリカでも高い評価を受けている。

昔から甘口だった「幸姫」であるが、実は数年前までは全国的なトレンドにならい甘さを控えめにしていた。しかし、海外での試飲会や品評会への出品、そして実際の輸出を経て、上質な甘さは評価されることがわかり、再び甘味を意識するようになったという。

いわば、外に目を向けることで、原点回帰したのである。「国内では日本酒離れが進んでいるが、海外はこれから伸びていく」。まっすぐ語る宏文さんを見ていると、「幸姫」が世界各地で愛される日も遠くないと感じる。