瀬頭酒造

瀬頭酒造

  • 嬉野市塩田町五町田甲3117
  • TEL ╱ 0954-66-2014
  • 営業時間 ╱ 8:00~17:00
  • 休み ╱ 土・日曜、祝日
  • 直売 ╱ あり(試飲不可)
  • 酒蔵見学 ╱ 不可
  • ホームページ ╱ http://www.azumacho.co.jp/

マッカーサーが愛した酒 歴史に名を残す蔵元

嬉野市塩田町の静かな田園地帯に位置するのが「東長」で知られる瀬頭酒造だ。

瀬頭酒造の創業は寛政元年(1789年)にさかのぼる。「東長」を発売したのは大正9年(1920年)。日本初の政党内閣を作った宰相として知られる原敬が命名した。酔い心地のさわやかさとおおらかさを「アヅマの国のオサ、すなわち東洋の王者にふさわしい」と評し、「東長」と名付けたそうだ。

その後、終戦直後の昭和20年(1945年)には、GHQ総司令部主催によるパーティーで偶然にもマッカーサー元帥の目にとまり、GHQの指定商品になったという歴史も持つ。今も、瀬頭酒造には当時の納品書が残されている。

そんな歴史に彩られた「東長」の特徴は、米の味わいを生かした上質な甘み。一般的に佐賀の酒は甘いと言われるが、実は全国的な淡麗辛口のトレンドにならい、最近は甘さが控えめになっている。しかし、そんな中でも、杜氏の原田さんがこだわっているのは上質なやさしい甘み。甘みこそが旨みだと信じているからだ。

上質な甘みは、大吟醸や純米吟醸などの高価格帯の酒だけではない。「東長」はレギュラー酒と言われる本醸造酒に至るまで、全ての酒に地元佐賀県産の酒米を使い、三段仕込みで製造している。

特定名称酒に注目が集まりがちな現代だからこそ、専務の瀬頭平太さんは「本醸造酒こそ東長のアイデンティティ。今こそ、本醸造酒の美味しさを感じて欲しい」と言う。

どんな酒も妥協せずに造るために、瀬頭酒造は今から30年近く前から設備の近代化をはかってきた。どんなに時代が進化しても、酒造りには蔵人の経験や感性が欠かせない。だからこそ、蔵人のパフォーマンスを最大限活かせるように機械でできることは機械を利用しているのだ。

たゆまぬ変革を続けてきた瀬頭酒造は、今、新たな挑戦をしようとしている。創業時から受け継いできた「正直な酒造り」はそのままに、若きリーダー平太さんのもと新しい味わいの酒を造る取組が進んでいるそうだ。歴史にその名を刻んできた瀬頭酒造の新たな1頁は、どのようなものになるのだろう。