矢野酒造

矢野酒造

  • 鹿島市大字高津原3903-1
  • TEL ╱ 0954-63-2008
  • 営業時間 ╱ 8:00~17:00
  • 休み/日曜、祝日は不定、8/13~8/15、1/1~1/3
  • 直売:あり(試飲可)
  • 酒蔵見学:可
  • ※事前予約をお願いします。但し12月〜3月の仕込み期間は不可。
  • ホームページ ╱ http://www.yanoshuzou.jp/

酒を通じて鹿島という土地を表現する

肥前鹿島駅から徒歩5分。長崎街道沿いに築100年を越える風情ある蔵が建つ。母屋は国登録の有形文化財でもあり、伝統的な建築物が残る鹿島・嬉野地区のなかでも特に見応えがある。

創業は寛政8年(1796年)。明治後期から昭和初期にかけては、佐賀・長崎はもとより、中国上海への輸入も手がけ大いに繁栄した。地域の上水道の敷設や消防団の創設などに貢献し、まさに鹿島の町づくりを担ってきた蔵といえる。

先代である8代目矢野善紀さんが品質重視の姿勢を打ち出し、自ら蔵に入り酒造りに励んだ結果、全国の鑑評会やコンテストで入賞を続ける蔵へと成長した。

平成15年(2003年)には、製造の中心を純米酒に移行しようと考え、『純米酒宣言』をした。その時生まれたのが矢野酒造を代表する純米酒「肥前蔵心」である。芳醇な味わいの多い鹿島嬉野の中では飛び抜けて軽快な味わい。食中酒として、和食はもとより洋食や中華にも合わせやすい。

9代目となる矢野元英さんは平成30年度より、蔵元杜氏として矢野酒造の造りを担っている。実は元英さんは大学卒業後、美術館で働いていたという異色の経歴の持ち主。

次男なので家業を継ぐつもりはなかった。だが、クリエイティブな環境で過ごす中で創作意欲が湧いてきたときに、ふと自分には日本酒があると思ったのだという。その後、東京、広島、福岡で酒造りの勉強をしてから鹿島へ戻った。

蔵に戻った当初は酒造りを通じて自分を表現しようとしていた。だが、試行錯誤の末、現在は「酒を通じて鹿島という土地を表現したい」という心境に至った。その根底にあるのは「鹿島のまちと自然、そして蔵同士のつながりのおかげで酒造りができている」ことへの感謝の思いだ。

「ようやく自分なりの酒造りの方向性が定まってきた」と語る元英さんがこれからどんな酒を造っていくのか。創業220年を超えて、矢野酒造はさらに進化していきそうである。