井手酒造
井手酒造
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙806番地1
- TEL ╱ 0954-43-0001
- 営業時間 ╱ 8:30~18:00
- 休み ╱ 日曜
- 直売 ╱ あり(試飲可)
- 酒蔵見学 ╱ 可 要予約
- ホームページ ╱ http://toranoko.co.jp/
蔵人はお茶農家 温泉地の真ん中にある酒蔵
日本三大美肌の湯として知られる嬉野温泉。その中心部にある商店街に面し、嬉野川(塩田川)のほとりにあるのが井手酒造だ。春になると母屋からは嬉野川の桜並木が見られ、それはそれは見事な景色だという。
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井手酒造の創業は明治元年(1868年)。嬉野茶の研究や海外輸出に携わっていた井手與四太郎さんが、嬉野川の清水を使って清酒業を始めたことに始まる。
現在の社長は東敦子さん。母である会長の井手洋子さんから家業を受け継いだ。まだまだ男性中心の清酒業において、三代続けて女性が経営している稀有な蔵だ。上品で穏やかな雰囲気がそっくりなお二人である。
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そんな井手酒造を代表するのが清酒「虎之児」。「虎はわが児を思う情けが非常に深い、その虎の児のように情けをかけ長く愛飲してもらいたい。そして千里を走る虎のように、その名が広く響き渡るように」という思いで名づけられた。
佐賀県外に出回ることも少なく、しっかりとした甘みのある味わいは長く地元で愛されてきた。湯上りに「虎之児」と嬉野温泉名物の温泉ゆどうふを合わせたら至福のひとときを味わえること必至だ。
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さすが温泉街の真ん中にある酒蔵。井手酒造では温泉が湧き出ている。酒瓶を洗う際には温泉の湯を使っているそうだ。ひとっ風呂浴びてから酒を注がれるなんて、なんだか酒瓶が羨ましい。
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もちろん温泉に入るのは酒瓶だけではない。蔵人たちも仕事が終わった後は、井手酒造の温泉で汗を流している。蔵人たちが酒造りのため住み込む期間は、朝ごはんの味噌汁も温泉水で作っている。
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うれしの茶の産地としても知られる嬉野。実は、杜氏の山口文男さんはじめ井手酒造の蔵人は全員が茶農家でもある。春から秋はお茶を栽培し、冬の短い期間だけ酒を造る。
50年以上、酒とお茶をつくってきた杜氏の山口さんは「酒もお茶も蒸してつくるのは一緒」と笑いながら教えてくれた。
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